『旅の手帖』安井かずみさん
十代の頃に安井かずみさんと加藤和彦さんの『キッチン&ベット』を読んで以来、私のなかでラブとキッチンは常に密着している。
『旅の手帖』のなかの、安井かずみさんが憧れた女優さんに対しての一行「彼女の女としての、日常が地に足が着いている確かさを尊敬したのである」という言葉は、私が、ズズ(安井かずみさん)を尊敬したときの気持ちそのままだ。

もとの資質が違うので、こんなふうには生きていけない部分もあるが、でも私なりのルートで「こんなふう」には進化しているよなと、年を経て、あらためてズズの本を読んで納得したよ。
「自由でいるということはなんと孤独なのだろう」ということを言葉で教えてくれた作家さんは、私にとっては安井かずみさんと橋本治さんでありました。