崖の上のポニョ」見てきたよ。
海の画像がきれいと事前に評判を聞き、癒し系と聞き、見た人が「よかったよー」というのを聞き、見にいった私は、胃がぎゅうっとなるぐらい怖い気持ちになりました。
海の絵がきれいなのは確かだ。しかも最初想像していたニモ系のきれいとは違い、慣れ親しんだなつかしアニメ絵のきれいさ。昔こういうのテレビアニメで見たなあって感じで懐かしく見てた。
ところで、私は、なぜか理由はわからないが、溺死を心底恐れているのだ。まあそんなん大好きって人はいないでしょうけど。
この恐怖感というのは自分でもうまく説明できない類のもので(溺れた体験もないのに)、が、ポニョにはそんな私を息苦しくさせるシーンがてんこ盛り。
過去からずっと悪夢のなかで出てくる「高台の家があっというまに水に囲まれて窓のぎりぎりまで海。そして町は水没」とか「せまりくるう生き物じみた波」とか「水没した町のなか生き残ったものたちが船に」とか。次々と私の悪夢のシーンが。息詰まる。ううう。私ちっとも癒されてない。ホラーもの見てるより怖がってる。きゃー。どんなにポニョポニョ歌っても黄色いアンヨが出ているのよー。怖いよー。
作中で主人公が自分の父母を名前呼びするのは不思議だけど、まあありかなと。なぜかというと私は私の妹に名前で呼ばれつづけ「おねーちゃん」とはまったく言われないままだったから。子どもって自分の周囲がそう呼んでる呼称を採用するので、周囲が私のこと「おねーちゃん」と定義づけし、そう呼ばないと、その呼び方は採用されないんだなーって思ったの。あとで修正させようとしたけど無理だったので、妹はずっといまだに私を名前呼び。
親がそれぞれ自分たちのこと「パパママ」なり「お父さんお母さん」なりと自称して子にそう呼ぶよう仕向けないと、名前呼びにはなるだろうなー。なんの意味があるかはわからんけど。なんか主張でもあったんですかね、その呼び方に。
五歳の子を残してあの状況で出かけられる母というものにも恐怖を覚えた。や、それは私が海や水が怖いから、自分が五歳であれをやられたらかなわないなーと思ったのもあるんですけど。逆に自分が母でもあれは絶対やらねーわ。不在のあいだに子どもになにかあったら悔やんでも悔みきれないでしょ、あれ。
けど親ってそういやかなり無責任なんだよなってのは、リアルでしたね。日本における親子は、どうも、子どもは親の副産物みたいな、親が先にありき的な発想があって、物語のなかでも親のうっかりでけっこう子が死んでて、そのあとで「子に先立たれた親の悲哀」を前面に出してみんなでおいおい泣くみたいな流れ多かったね。そこで泣くなら、その前の段階で、親が気をつけとけよ。おまえが馬鹿だから子が死んだんだろという突っ込みはナシでお願いしますねみたいな物語。日本以外もそんなんかは考えたことないや。

というわけで私は怖かった。
私以外は癒されてるみたいだったよ。