海馬が耳から駆けてゆく (5) (ウィングス文庫)

海馬が耳から駆けてゆく (5) (ウィングス文庫)

菅野さんは小説も好きだがエッセイも大好きだ。
菅野さんの友人たちはネタにされてしまい大変そうだ。
エッセイで著者の周辺のひとたちがネタにされてるとき「ネタにされててかわいそうに」と思うタイプと「ネタにされてて美味しくて幸福で楽しかろうな」と思わせるものがあって、その違いはどこなんだろうねと考えるに……やっぱり愛なのかしらね。
あと著者自身が自分を素敵に見せようとしてないことは大切なのかな。
という感想は菅野さんにとってどうなんだという話ですが。
「え。私は素敵じゃないってこと?」と愕然とされたら困るけど、いや、だけど、ほら。
自分だけ素敵でかっこよく生きてる。でも周囲にはこんなダメこちゃんがいてその人たちのダメ体験語るね。
みたいな切り口のエッセイは読んでて不快なんですよ。ただ単に私が。
自分がぶち当たって苦悶してバカになったり泣いたり笑ったりしているエッセイが好きなんです。
ただ単に私がね。
菅野さんていい人なんだろうなと、小説やエッセイで感じるのですよ。そして友人たちも素敵な人だよね、と。

ラストの文庫書き下ろしのあとがきは、泣いてしまった。
猫飼いは泣くよね。