コバルト風雲録

コバルト風雲録

なんか……久美さんてもしかして栗本薫さんと精神構造が似ているのでしょうか。
という気持ちになる文章が散見する一冊。
たぶん社会人経験がなく作家をやりつづけて売れて食べられた時期がつづくと、そういう感覚になるのかなあ的な部分なのかな。チームワークに向いてない感がプンプンと漂う。まあ作家だからいいのか、それで。
コバルト文庫で頑張ってた時代のあれこれと、コバルトのなかで書いていくことの苦労と、そこから離れざるを得なくなったあたりの苦悩など。
ファンレターデータベース(自作ノートに写真つき)のあたり、すべての手紙に返事出してたなどなど、なんじゃそりゃああああ、と思った。でもきっとマメでいい人で努力家なんだなとも思った。
ティーンズ女子向け文庫であるコバルト文庫の初期にご活躍されていたベテラン作家さんですが、私は、コバルトを離れたあたりのご著書のほうが好みであります。ファンタジーの森だったっけか、わりとすぐにレーベルがなくなったっぽいプランニングハウスのノベルスで出していた本あたりも、大好きだったなあ。え、ここで終わるの?
上下巻で完結と聞いて、よしよしと買って読んだはいいが――このラストはおもいきり「俺たちの戦いは、これからだぜ」みたいな??
でもまあ未消化で終わってるわけじゃなく、ここで終わっても別にそれはそれでいいんだけど、しかしつづきあるっぽいし、つづいたらいいなあと思う。