イントゥザワイルド。
試写会でした。
裕福な家庭で生まれ、ハーバードのロウスクールに入学できる優秀な成績で大学を卒業し、しかしすべてを捨ててアラスカに向かい、アラスカの荒野で衰弱死した死体で発見された青年の実話をもとにして描かれた映画。
へんな賢くて繊細な若者のこの手の痛々しい思い込みについては、私は昨今、「わからない」と「わかりたくもない」のあいだを微妙に行ったり来たりしている。特に青年になると、少女のそれより一層、「わからない」と「わかりたくもない」の度合が増える。
ハチクロにおける青春スーツ着用の姿を「痛々しい」と思いつつ眺める心地に通じる。
しかも実話。実話でかつアラスカで衰弱死。
当人が「幸せだった」と書き残したのなら、幸せだったのでしょう。
でも本人が幸せであっても残された親や妹や旅先で彼に優しくしてきた人たちはどうなるのだ。
自分の幸福だけを追いかけた青年の最期の負け惜しみなのだとしても、その幸福は、きっと本物の幸福じゃないと思ってしまう。
だって彼は「愛とは分かち合うものだ」と気づいてしまったのに、ひとりで死んだのだ。