日はまた熱血ポンちゃん (講談社文庫)

日はまた熱血ポンちゃん (講談社文庫)

かつて高校生だったMさんはちらっとポンちゃんの小説とエッセイを読み「年寄りが無理して若ぶってる風なのと説教臭さがつらいので、もう読まない」と言い、それ以来、彼女はエイミーを読まないのであった。
その両方とも正しいよなと思ったので私も無理にすすめなかったし。
パーティー大好きでいつでも悪ガキ気どりのエイミーだけど、芯のところに頑固ババアがいて、そいつが小説の裏側で説教かましたり、ぼやいたりしていんるだよね。私はその芯のババアがわりと好きで、どれだけ悪ガキぶってても、しゃっきり立ってる正統派な雰囲気と佇まいを楽しんで読書していたんだけど……。たしかに山田詠美さん自身が年を取るにつれて「どこまで芯のババアを露呈するのか」判断が、なんかけっこう難しいものになってきてる気がする。芯にババアがいるけど表は悪ガキでいたいがゆえに、一歩間違えるととても少女漫画みたいな、変な世界に突入してしまう。
少女漫画のなかには名作がたくさんあるし、なまじの文学より素晴らしい文化だと思ってるけど、私はエイミーの小説に「少女漫画」を特に求めてないので、読んでて、とまどうことがある。
まあきっと人柄なんでしょうね。ピーターパンシンドロームなんだけど芯にババアがいて「私の価値観は素晴らしいのよ」と主張したがるつーか。
だからピーターパンな人たちが読者に多いのかなと妄想しつつ。私も芯にティンカーベルがいるし。羽根はえて妖精の粉まいて暮してるし(想像したらちょっとキモイな私のティンカーベル……)
エイミーはうまくいくと森茉莉さんみたいになるんでしょうか、そのうち……。

小説とエッセイはいいけど映画になるといたたまれないものがあるなと「風味絶佳」の映画を見てそういえば思ったのでした。
でもまだ小説は追いかけてみようと思ってるし、熱ポンは気が向いたら読むよ。