愛でしか作ってません

愛でしか作ってません

材料は新鮮でいいのに調理人がイマイチで不味くなってるタイプの本。
BL読みなら「ああ、この著者は倒産したあの某編集部にいたんですね。当事者ですね」というのがすぐにわかるね。
文章がうんぬんより、たぶん著者は本当に「愛でしか作れない」人だと思うんだが、むしろ「愛のないものを作った」ほうがいいものができるタイプなんじゃなかろうか? つまり自分にとって興味の対象外の、まったく知らないものを取材して調べていって、その過程で得た「愛」を切り口ととっかかりにして物語やキャラを立てていく小説作法のほうが向いている気がする。なぜかというとあまりにも「己」がすべてに滲み出てるので、その「己」と「愛」を少し削ったほうがかえって距離感が取れて、私のようなタイプの読者にきちんと感動させられると思うのよ。熱い物語は大好きだけど、自己愛に熱い物語はうざいのです。私は、ね。でもそういう読者も一定数いると思うよ。